マイケルか。マイケルはこんな感じだったな。 彼は、子供たちのことが大好きな子でね。 憶えてるのは… だいぶ昔、ショーの後 お小遣いを与えると、そのすべてを彼は大量のキャンディーに使い果たしてしまうんだ。 近所の子たちと輪になって座り、キャンディーを皆にどんどんあげて、笑って楽しい時間を過ごしてたよ。 他の子たちがキャンディーを食べるのを見て大きな喜びを感じるという彼の感覚は、私の理解を超えたものだったな。 あと、彼は足が早かったよ。機敏な子だった。 かつてウチでは、とても短気な黒毛のドーベルマンをヤードで飼っていたんだ。 この犬はとても意地悪くてどう猛だったので、私たちはある独裁者の名前で呼んでいたほどだった。(その名前は言えんがね) 毎週日曜は2~3時間ダンスの練習をしていたマイケルは、ある日曜もそれを済ませたあと、弟のランディとおもてを歩いていた。 彼らは犬がヤードから出ていることに気づかず、犬はあとを追いかけて来たんだ。 マイケルはとても素早く、1秒の差でダッシュで犬から逃れて車の上に飛び乗った。 だがランディは犬に捕まり、足に噛みつかれたんだ。 私は犬を追い立て、ランディは犬から解放された。 そのまま噛まれ続けていたら、ランディは二度と歩けなかったかもしれないほど非常に危険な出来事だったよ。 何年も経ったが、今でもまるで映画のシーンのように全て脳内再生できるね。 マイケルが犬をぶっちぎって なおかつジャンプする平静さを兼ね備えていたという事には舌を巻くよ。 他には… そうだな、モノマネの達人だったよ。 彼は、何かを目にしたものをマネる事が出来るんだ。 家で曲が浮かび、スタジオ入りした時には、彼は自分が何を望むかを正確に解っていた。≪※ナゾ和訳w≫ どういうわけか彼には先見の明があったんだ。 一度、彼に命を救われた事がある。 活動初期のころ、ギャングが私たちのショーのチケット代を支払わず乗り込んで来て、なけ無しのお金をはたいて買った楽器を奪い取ろうとしたんだ。 そいつらが現れた時、私たちはショーの準備中だった。 もう何も持ってなかったし、かくなる上はと私は1人で戦うべく立ち上がった。 私は対抗したが、やつらの1人からマイクで後頭部を殴られて気絶してしまった。 意識が無かったのでほとんど憶えてないのだが、マイケルがおもてに飛び出して公衆電話に駆け込んでくれたそうなんだ。 マイケルは背丈が足りず電話まで届かなかったので、通行人に大声で叫んで呼びかけて自分を持ち上げてもらい、911へ通報してくれた。 救急車が来て動かされた時、私はかろうじて体を起こせるという程度の状態だった。 マイケルや兄弟たちが私を見つめる幼い目は混乱に満ちていて、「ぼく達は一体どうしたらいいの?」 と訊いているかのようだった事を憶えてる。 私は彼らをまっすぐ見据え、躊躇なく言った。 「おまえ達はステージに立ってショーをしろ。何事も起こっていないように振る舞うんだ。 いつだってショーは進行させなければいかん!」 マイケルはその教えを取り込み、永年にわたって痛み・ストレス・悲しみでさえ 決して人々に見せることは無かった。 彼は最期までプロフェッショナルだったね。 私にとって "史上もっとも偉大なエンターテイナー" だよ。 |