Q: | 最近のあなたは、レコード毎に共同プロデューサーを変えてるようですね。 |
PM: | 基本的に僕は、未だに "完璧なプロデューサー" ってのを捜し求め、さまよい続けてるんだと思う。 だから今まで出来るだけ多くの人々を試してきたんだけど、いくら他人が誰かを推薦したところで実際に一緒に仕事してみなきゃ自分との化学反応がどう出るか?ってのは判らないからね。 それに、元々いろんな種類の人間と仕事するのは好きな方だから。 |
Q: | かつてビートルズファンだった世代があなたのプロデュースをしている印象すら受けます。 果たしてこの世代の中からあなたが求める特殊な人材を捜し出せるでしょうか? |
PM: | 僕は、自分を含め 人間の年齢には全く興味ないんだ。 相手が何歳であろうとも、そんな事は全然気にならないよ。 若くてエネルギーがあるからって、何もそういう連中だけに特別な才能があるとは限らないんだからさ。 我々老人の中にだって、若さや精力は劣るけれども知性じゃ負けないって人間も少かからず居るからね。 良いプロデューサーを見つけたら、たとえその人間が50のジジイであろうと僕は平気だよ。 でもそういう御老体のベテランを見つけた場合、耳がよく聞こえなくなっちゃってるなんて事もあるから(笑) まあ、その辺が欠点と言えば欠点だなぁ。 <中略>‥‥冗談だよ冗談。アホな事言ってるだけだから(笑)。 でも本当にマジで、僕は自分より若い娘らを利用してその精気を吸い取ってやろうなんて 浅ましい下心は全然ないね。 反対に、経験豊かなベテランを求めるって気もない。 ただ、"その人間の才能" だけに興味があるんだ。 |
Q: | 今の社会を見ると、音楽界だけでなく芸術や政治・経済界までもが かつてビートルズファンだった “60年代の申し子達” によって動かされている情況になって来てますよね。 それを見てどんな気がします? |
PM: | すごく自然で望ましい状態だと思うよ。 僕らが若い頃っていうか、60年代頃にはやっぱりあれこれ新しくて面白いアイデアを模索したりしたものなんだ。 <中略> よく皆と議論し合ってたのが、 『将来、必ず俺たちが実際に世の中を動かす原動力になる日が来る訳だけど、一体どんな変化をもたらすんだろう? 果たしてこの世の中のシステムを変える事なんて出来るんだろうか?』 ってテーマだった。 で、必ず出来るんだ!という答えが今、現実の世界で事実として続々と実現してるじゃないか。 例えばあのゴルバチョフの最新政策だって、明らかにビートルズ世代のメンタリティーだもんね。 |
Q: | ふ-む…そうなんでしょうかねぇ。 そこまでは考えが及びませんでしたが。 |
PM: | うん、でもよく考えてみてごらん。すこく大切な事なんだからさ。 それにこの間、東西間のベルリンの壁が廃止になった時、東側から移動してくる人々の服装をテレビで見ただろう? デニムなんだよデニム。殆んどの人間が揃いも揃ってジーンズ人種なんだ。僕らの世代なんだよ。(デニムは)自由を愛する人間のシンポルだからね。 日本人だって もうそろそろ、そうなっても良い時期なんじゃない? 若い人間だけじゃなく中高年の人間達までもが堂々とジーンズ姿で社会に通用できる位になれたらしめたものなんだけど。 日本はまだそこまで行ってないだろう? つくづく日本ってそういう面では遅れてるなあと思うよ。 |
Q: | (笑) |
PM: | ホント冗談じゃなく、マジでそう思うな。 こと考え方の自由さって事に関しては、未だに日本社会ってすこく堅苦しい規則みたいなものにがんじがらめになってるよね。 まあ、それが産業面・生産面に関しては有利な武器になってるんだろうけど。システムに沿ってテキパキと能率よく仕事が進んでいくからさ。 |
Q: | 日本人ほど仕事に関して有能で能率のいい人種は居ないと思いますよ。 |
PM: | (笑) うん。 反面、われわれ英国人は なまじ個人の自由を尊重し過ぎるもんだから、しょっちゅうどこかで誰かがストライキやっていて 何ひとつ正常に機能しないっていう落とし穴もあるしね。 |
Q: | (笑) でしょう? |
PM: | だから、何もここで日本人ばかり責めてる訳じゃないんだ。 だけどある種の事に関しては、特に捕鯨の事とか環境汚染などについての日本の政策は、驚くほど遅れてるよね。ヨーロッパやアメリカに較ペるとさ。 環境問騒なんか今皆が力を合わせて何とかしなきゃ、もうすぐこの地球上に人間が住めなくなってしまうという段階にまで追いこまれてるのに。 とか まだ他にも色々あるんだけどさ、とにかく今の世の中ってすごく興味深い時代に突入してると思うんだ。 まぁ現在起こっている事の多くが60年代の反動から来てるんだろうけど… 何たって今は我々 “60代の申し子達” の世代だからさ。 実はこの間フランスの環境大臣に会ったんだけど <延々とつづく> |